Blog

まよ日が記かく

AIで見つけた「ブランド化しない地域の魅力」

僕はデザイン工学出身ということもあって、地域振興においてはブランド化が有効な手段だと思っている。ブランド化はわかりやすく信頼感のあるイメージを扱う戦略だからだ。ただ、全ての地域がブランド力を高めれば競争力のある魅力的な地域になるのか?と言われると首を縦にはふれない。そんな中、たまたま人工知能のシンポジウムの交流会で、地域ブランドと同じくらいの力を持つ概念を見つけたので紹介したい。(おそらく、ブランドよりもこっちの方が向いている地域も存在すると思われる)

大事なことはラーメンが教えてくれた

先日、山形人工知能シンポジウム(AIMY主催)でファシリテーターを務めさせていただいた。山形県より後援をいただいているものの、主催者たちの探究心や自主性がいっぱい詰まった展開に、パネラーからも、忖度ない感じがすごく心地よくてぶっちゃけてしまったと言ってもらえるほどだった。

パネルディスカッションも、会場質問がスマホから送られてくる仕組みになっており。僕の手元にくるリアルタイムな質問が、なかなかスリリングが展開を生んでくれた。

4時間という長丁場な会が終わり、その後、講師や希望者とともに懇親会をした。その際にパネラーや、山形工業技術センター職員と、山形らしい人工知能の使い方はないのか?といった話になった。これはディスカッション時に出てたものだが、山形らしさの定義が特にないので、地方だからできるAIの活用は何か?に内容を変更して質問していたものである。

せっかくの飲みながらでの機会なので、冗談めいた企画でもいいので何か山形らしいAI活用はないか聞いてみたところ、案の定、山形らしいさってなに?っていう質問になった。

そこで「例えばだけど、ラーメンの消費量多いけど、山形らしいラーメンは存在しないことですかね。(局所的に地名のついたラーメンがある程度)」といってみたところ。パネラーの方が俄然興味持ってくれて、「つまりは、博多とんこつ、北海道の味噌みたいな、これっていうブランドがないってことだよね?でも、それでもみんな日々ラーメンを食べてるってことは、自分が好きなラーメン屋をパーソナライズできてるってことなんじゃない!?」と。

パーソナライズってのは簡単に言えば好みの分類みたいなもので、趣味嗜好によって一人一人欲しいものが違うという意味合いだ。これを利用した広告が、ネットのパーソナライズ広告になる。アマゾンの「これを買った人はこれも買っています」という紹介もパーソナライズレコメンドだ。

つまりは、この地域はコレって感じのイメージが深く根付いているものを「地域ブランド力」というのに対し、山形のラーメンは県民個々人の好みに幅広く答えることが可能な「パーソナライズ力」を持っているのと言えるのだ。確かに個々の店舗はブランド力を高めることがもちろん大事なのだが、そのエリア(地域)はブランド力だけが全てではない。むしろ幅広いユーザーの獲得には、バリエーション豊かなことも大きな武器になるのだ。

地域パーソナライズはAIとアマチュア評論家たちが鍵だった

ただし、このパーソナライズ力を高いというには、実はバリエーション(選択肢)の豊富さでは不完全である。それを的確にお勧めするレコメンド力がセットで必要になってくるのだ。

さて、ここでようやく人工知能(AI)の登場である。山形のラーメン屋の膨大なデータを収集して解析するにはAIがもってこいである。正確には、そのAIにデータを送る情報収集員も必要になってくるので、様々なお店のラーメンを食べ歩くのが好きな人たちも必要になる。そんな調査員みたいな活動やってる人なんているのかって話だが、山形のラーメンコミュニティは、人工知能のコミュニティをはるかに凌駕する規模で存在する。県内限定のラーメンの雑誌の発行具合からみても一目瞭然である。自分の好みで評論家のように判断したデータを送ることで、AIがそれを解析し、結果として、年齢性別その他の特徴や気分に応じたラーメンを紹介してくれる、山形らしいAIが作れるというわけだ。

それは「地域パーソナライズ力」という発見

こうして意外に簡単に、ご当地AI活用ができることがわかった。

それと同時に、地域ブランドと同じくらいの力を持てそうな「地域パーソナライズ力」という概念に気づけたのが大きな収穫であった。残念ながら今からブランドを立ち上げるには労力がかかりすぎる地域も存在する。そんなときこそ、バリエーションの豊かさ(一枚岩でないことに)に確信があるならAIという技術を利用して、ご当地のパーソナライズ化を計ってみてはどうだろう。

けして、ブランドづくりが悪いわけではない。ただ、安易なブランドの乱立は質の低い不良在庫を作る可能性も秘めていることから目を背けてはいけないのだ。また、個々に業者がブランド化をしているモノにわざわざ地域が介入する必要もないのだ。ブランド化の他にパーソナライズ化という選択肢があることも、念頭におきながら地域課題を乗り切って欲しい。と同時に僕はこの二つに並べられそうなまた別の概念を探して行こうと思う。

もしも上手なパーソナライズ化ができたら、「この豊かさこそが我が町の地域ブランドです」といっておけば、地域ブランドの推進に携わる人のことも傷つけず万事OKだよと、納得の締め言葉を残して今日の話は終わりにしたい。

PAGE TOP